FP技能検定 用語集
FP技能検定の学習で出てくる用語146語の意味を、分野別にまとめました。用語を選ぶと、関連する用語やその用語が出てくる問題へ進めます。
ライフプランニングと資金計画(27語)
- 6つの係数
- 6つの係数とは、一定の利率で複利運用したときのお金の将来価値や現在価値を簡単に計算するための係数である。今の元本が将来いくらになるかは終価係数、将来の目標額のために今いくら必要かは現価係数、毎年の積立額が将来いくらになるかは年金終価係数、将来の目標額のために毎年いくら積み立てるかは減債基金係数、今の元本から毎年いくら受け取れるか(借入れの毎年の返済額)は資本回収係数、毎年一定額を受け取るために今いくら必要かは年金現価係数で求める。
- キャッシュフロー表
- キャッシュフロー表とは、現在の収支状況と今後のライフイベントの予定をもとに、将来の収入・支出・年間収支・貯蓄残高の推移を年ごとに表にしたものである。収入は可処分所得で記入し、将来の金額は変動率(物価上昇率や昇給率など)を使って計算する。貯蓄残高は、前年の残高に運用益を加え、その年の年間収支を加減して求める。
- 可処分所得
- 可処分所得とは、年収から所得税・住民税と社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料など)を差し引いた、家計が自由に使える金額である。生命保険料や住宅ローンの返済額、財形貯蓄などは差し引かない。キャッシュフロー表の収入欄に記入する。
- 元利均等返済
- 元利均等返済とは、住宅ローンなどで、毎回の返済額(元金と利息の合計)が一定になる返済方法である。返済当初は利息の割合が大きく、元金の減り方が遅い。これに対し元金均等返済は、毎回の元金の返済額を一定にし、利息は残高に応じて減っていく方法で、当初の返済額は多いが、他の条件が同じなら総返済額は元利均等返済より少なくなる。
- 繰上げ返済
- 繰上げ返済とは、住宅ローンなどの通常の返済とは別に、元金の一部または全部を前倒しで返済することである。毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする期間短縮型と、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす返済額軽減型がある。他の条件が同じなら、利息の軽減効果は期間短縮型の方が大きく、繰上げ返済は早い時期に行うほど効果が大きい。
- 住宅ローン
- 住宅ローンとは、住宅の購入や建築のために金融機関などから借りる資金で、金利のタイプには全期間固定金利型、変動金利型、一定期間だけ金利を固定する固定金利選択型がある。フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンで、機構が債権を買い取って証券化する仕組みである。 変動金利型は、一般に金利を年2回見直し、返済額は5年ごとに見直す(上限は従前の1.25倍)商品が多い。
- 団体信用生命保険
- 団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの借り手が返済の途中で死亡したり高度障害状態になったりした場合に、保険金で残りのローンが返済される生命保険である。保険契約者・保険金受取人は金融機関などで、借り手が被保険者となる。フラット35では加入は任意で、民間の住宅ローンでは加入が借入れの条件とされることが多い。
- 老齢基礎年金
- 老齢基礎年金とは、国民年金の保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合わせた受給資格期間が10年以上ある人に、原則として65歳から支給される年金である。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480か月)すべて保険料を納めた場合の満額に、実際の納付済月数などの割合を掛けて計算する。全額免除期間は2分の1(2009年3月以前の期間は3分の1)で年金額に反映される。
- 老齢厚生年金
- 老齢厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者期間があり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人に、原則として65歳から老齢基礎年金に上乗せして支給される年金である。額は在職中の標準報酬月額・標準賞与額をもとにした報酬比例部分が中心で、要件を満たすと加給年金額が加算される。生年月日によっては65歳前に特別支給の老齢厚生年金を受けられる。
- 繰上げ受給
- 繰上げ受給とは、老齢基礎年金・老齢厚生年金を60歳から65歳になるまでの間に前倒しで受け取ることで、1962年4月2日以後生まれの人は繰り上げた月数1か月につき0.4%減額され、減額は生涯続く。老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げる必要がある。 繰下げ受給は、66歳以後に遅らせて受け取ることで、1か月につき0.7%増額される。1952年4月2日以後生まれの人は75歳まで繰り下げられ、最大84%増える。繰下げは老齢基礎年金と老齢厚生年金で別々に選べる。
- 在職老齢年金
- 在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受け取る人が厚生年金保険の被保険者として働く場合などに、賃金(総報酬月額相当額)と年金(基本月額)の合計が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1の年金が支給停止される仕組みである。支給停止調整額は、2026年4月の法改正で基準額が62万円(2024年度価格)となり、賃金の変動に応じて毎年度改定される(2026年度は65万円、2025年度は51万円)。老齢基礎年金は支給停止の対象外である。
- 加給年金額
- 加給年金額とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳になって老齢厚生年金を受けられるようになったときに、生計を維持している65歳未満の配偶者や、18歳到達年度末までの子(一定の障害がある子は20歳未満)がいる場合に加算される額である。配偶者が65歳になると加算は終わり、配偶者が一定の要件を満たせば配偶者の老齢基礎年金に振替加算が付く。
- 振替加算
- 振替加算とは、夫(妻)の老齢厚生年金などに付いていた加給年金額の対象である配偶者が65歳になったときに、その配偶者自身の老齢基礎年金に加算される額である。1966年4月1日以前に生まれた配偶者が対象で、生年月日が若いほど額は少なくなる。
- 付加年金
- 付加年金とは、国民年金の第1号被保険者などが定額の保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めた場合に、老齢基礎年金に上乗せして支給される年金で、額は200円に付加保険料の納付月数を掛けた額である。2年受け取れば納めた付加保険料の元が取れる計算になる。国民年金基金の加入員は付加保険料を納められない。
- 国民年金基金
- 国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者などが任意に加入し、老齢基礎年金に上乗せする終身年金などを受け取るための制度である。掛金は全額が社会保険料控除の対象となる。掛金の上限は、個人型確定拠出年金(iDeCo)と合わせて月額6万8,000円である。加入員は付加保険料を納めることができない。
- 遺族基礎年金
- 遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者などが死亡した場合に、その人に生計を維持されていた子のある配偶者、または子に支給される年金である。子とは、18歳到達年度の末日までの子、または障害等級1級・2級の20歳未満の子をいう。年金額は定額で、子の数に応じた加算がある。被保険者中の死亡などでは保険料納付要件を満たす必要がある。
- 遺族厚生年金
- 遺族厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者などが死亡した場合に、その人に生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母のうち最も先順位の人に支給される年金である。額は原則として死亡した人の報酬比例部分の年金額の4分の3。夫の死亡当時に子のない30歳未満の妻は5年間の有期給付となる。 夫の死亡時に40歳以上65歳未満の子のない妻などには、65歳まで中高齢寡婦加算が付く。
- 寡婦年金
- 寡婦年金とは、国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間と免除期間が合わせて10年以上ある夫が年金を受けずに死亡した場合に、婚姻関係が10年以上続き生計を維持されていた65歳未満の妻に、60歳から65歳になるまで支給される年金である。額は夫の第1号被保険者期間に基づく老齢基礎年金額の4分の3。死亡一時金とはどちらか一方を選ぶ。
- 障害基礎年金
- 障害基礎年金とは、国民年金の被保険者期間中などに初診日がある病気やけがで、障害認定日(初診日から1年6か月を経過した日など)に障害等級1級または2級に該当する人に支給される年金である。保険料納付要件を満たす必要があり、1級の額は2級の1.25倍で、子の加算がある。
- 確定拠出年金
- 確定拠出年金とは、拠出された掛金を加入者自身が選んだ商品で運用し、その運用成果によって将来の給付額が決まる年金制度である。事業主が実施する企業型(企業型DC)と、国民年金基金連合会が実施する個人型(iDeCo)がある。掛金は企業型では事業主拠出が原則で(規約により加入者も拠出できる)、加入者が拠出した掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となる。 老齢給付金は原則として60歳から受け取れ、通算加入者等期間が10年に満たない場合は受給開始年齢が遅くなる。
- 個人型確定拠出年金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、国民年金基金連合会が実施する確定拠出年金で、加入者が自ら掛金を拠出し、自分で選んだ商品で運用する制度である。国民年金の被保険者であれば、第1号・第2号・第3号を問わず原則として加入でき、加入できる年齢は65歳未満(国民年金の被保険者である間)である。 掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、運用益は非課税、受取時は一時金なら退職所得、年金なら雑所得(公的年金等)として扱われる。拠出限度額は被保険者の種別などで異なる。
- 小規模企業共済
- 小規模企業共済とは、個人事業主や小規模な会社の役員などが、廃業や退職に備えて積み立てる国の共済制度で、中小企業基盤整備機構が運営する。掛金は月額1,000円から7万円までの範囲(500円単位)で選べ、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となる。共済金は、一括受取りは退職所得、分割受取りは公的年金等の雑所得として扱われる。
- 高額療養費
- 高額療養費とは、公的医療保険で、同じ月(1日から末日まで)に医療機関の窓口で支払った自己負担額が、年齢と所得に応じた自己負担限度額を超えたときに、超えた分が支給される制度である。入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療の技術料などは対象外である。事前に限度額適用認定証を提示したりマイナ保険証を使ったりすると、窓口での支払いを限度額までにできる。
- 傷病手当金
- 傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがで仕事を休み、給与を受けられないときに支給される給付である。連続して3日間休んだ後(待期)、4日目から支給され、1日あたりの額は支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額の30分の1の3分の2。支給期間は支給開始日から通算して1年6か月である。国民健康保険には原則としてない。
- 任意継続被保険者
- 任意継続被保険者とは、退職などで健康保険の被保険者資格を失った人が、希望して引き続き最長2年間、在職中の健康保険に加入する制度の被保険者である。資格喪失日の前日まで継続して2か月以上の被保険者期間があることが要件で、資格喪失日から20日以内に申し出る。保険料は事業主負担がないため全額自己負担となる。
- 雇用保険の基本手当
- 雇用保険の基本手当とは、雇用保険の被保険者が離職して失業状態にある場合に、再就職までの生活を支えるため支給される給付である。原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが要件(倒産・解雇などの場合は1年間に6か月以上)。7日間の待期の後に支給され、正当な理由のない自己都合退職では、さらに給付制限期間がある。支給日数(所定給付日数)は離職理由・年齢・被保険者期間で決まる。
- 高年齢雇用継続給付
- 高年齢雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者で、被保険者期間が5年以上ある人の賃金が、60歳到達時の賃金の75%未満に下がった場合に支給される給付である。基本手当を受けずに働き続ける人は高年齢雇用継続基本給付金、基本手当を受けた後に再就職した人は高年齢再就職給付金を受ける。2025年4月以降に60歳になる人は、支給率が最大で賃金の10%となった。
リスク管理(18語)
- 定期保険
- 定期保険とは、保険期間が一定で、その期間中に被保険者が死亡または高度障害状態になったときに保険金が支払われる生命保険である。満期保険金はなく、解約返戻金もないかごくわずかなため、保険料は同じ保障額の終身保険より割安になる。 保険金額が期間の経過とともに減っていく逓減定期保険や、保険金を年金形式で毎月受け取る収入保障保険(受取総額は期間の経過とともに減る)もある。
- 終身保険
- 終身保険とは、保障が一生涯続き、被保険者がいつ死亡しても死亡保険金が支払われる生命保険である。保険料の払込期間を終えた後も保障が続き、解約返戻金は長期間で徐々に増えていく。保険料払込期間中の解約返戻金を低く抑える代わりに保険料を割安にした低解約返戻金型終身保険もある。
- 養老保険
- 養老保険とは、保険期間中に被保険者が死亡した場合は死亡保険金が、満期まで生存した場合は死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる生命保険である。貯蓄性が高い分、保険料は定期保険や終身保険より割高になる。
- 個人年金保険
- 個人年金保険とは、契約時に定めた年齢から一定期間または一生涯、年金を受け取れる生命保険である。年金の受取期間が決まっている確定年金、生存している限り一定期間受け取れる有期年金、一生涯受け取れる終身年金などがある。一定の要件を満たす契約の保険料は、個人年金保険料控除の対象となる。受け取る年金は雑所得として課税される。
- 医療保険
- 民間の医療保険とは、病気やけがで入院・手術をしたときに、入院給付金や手術給付金が支払われる保険である。1回の入院や通算の支払日数に限度がある。がん保険は保障をがんに限定した保険で、一般に契約から90日程度の免責期間(待ち期間)があり、その間にがんと診断されても保障されない。被保険者本人が受け取る入院給付金・手術給付金などは非課税である。
- 特約
- 特約とは、主契約(終身保険・定期保険など)に付加して保障を追加・変更する契約である。災害割増特約、傷害特約、入院特約、先進医療特約、リビング・ニーズ特約(余命6か月以内と判断された場合に死亡保険金の一部を生前に受け取れる)などがある。原則として主契約を解約すると特約も消滅する。リビング・ニーズ特約の保険金は非課税である。
- 解約返戻金
- 解約返戻金とは、生命保険などを途中で解約したときに、契約者に払い戻されるお金である。保険料の一部が積み立てられた部分から支払われ、契約から間もない時期の解約では払込保険料の合計より少なくなることが多い。定期保険では解約返戻金がないかごくわずかである。
- 契約者貸付
- 契約者貸付とは、生命保険の契約者が、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度である。保障を続けたまま資金を用意できるが、所定の利息がかかる。返済前に保険金の支払事由が生じた場合は、保険金から貸付金の元利合計が差し引かれる。貸付金の元利合計が解約返戻金を超えると、契約が失効することがある。
- 払済保険
- 払済保険とは、保険料の払込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間を変えずに保険金額の少ない保険(元の主契約と同じ種類の保険や養老保険など)に変更することである。延長保険は、同じく保険料の払込みを中止し、解約返戻金をもとに保険金額を変えずに保険期間を短くした定期保険に変更することである。いずれも原則として特約は消滅する。
- 告知義務
- 告知義務とは、生命保険などの契約の際に、保険契約者または被保険者が、健康状態など保険会社が告知を求めた重要な事項について、事実を告げなければならない義務である。故意または重大な過失で事実を告げなかったり事実と違うことを告げたりした場合、保険会社は契約を解除できる。ただし、解除の原因を知った時から1か月間行使しないとき、または契約の締結の時から5年を経過したときは解除できない。 保険会社の保障が始まる責任開始日は、一般に申込み・告知(診査)・第1回保険料の払込みがすべてそろった日である。
- 保険のクーリング・オフ
- 保険のクーリング・オフとは、保険契約の申込みをした人が、一定期間内であれば書面(または電磁的記録)で申込みの撤回や契約の解除ができる制度である。クーリング・オフについて記載した書面を受け取った日と申込みの日のいずれか遅い日から起算して8日以内に行う。保険期間が1年以下の契約、法人などが事業のために締結する契約、医師の診査を受けた後の申込みなどは対象外である。
- 生命保険契約者保護機構
- 生命保険契約者保護機構とは、生命保険会社が破綻した場合に、救済保険会社への資金援助などを行って保険契約者を保護する法人である。国内で営業する生命保険会社はすべて加入している(少額短期保険業者や共済は対象外)。補償の対象は、原則として破綻時点の責任準備金等の90%までで、高予定利率契約は補償率が下がる。損害保険会社には損害保険契約者保護機構がある。
- ソルベンシー・マージン比率
- ソルベンシー・マージン比率(SMR)は、保険会社が大災害や株価の暴落など通常の予測を超えるリスクに対して、どの程度の支払余力を持っているかを示す指標である。2026年3月期からは、保険会社の健全性を測る規制上の指標が、経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)に切り替わった。 ESRは、資産と負債を経済価値(時価)で評価し直したうえで、ストレス時に発生するリスク量(所要資本)に対して資本(適格資本)がどれだけあるかを示す比率(適格資本÷所要資本)である。ESRが100%を下回ると金融庁の早期是正措置の対象となり、70%・35%を境に、改善計画の提出命令から期限を付けた業務停止命令まで段階が分かれる。 旧制度では、ソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると早期是正措置の対象とされていた。少額短期保険業者には、引き続き旧制度のソルベンシー・マージン比率が使われる。どちらの比率も、高いほど支払余力があることを示す。
- 地震保険
- 地震保険とは、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による居住用建物と家財の損害を補償する保険である。単独では契約できず、火災保険に付帯して契約する。保険金額は火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で、建物5,000万円・家財1,000万円が上限となる。損害の程度は全損・大半損・小半損・一部損の4区分で認定される。保険料は地震保険料控除の対象となる。
- 火災保険
- 火災保険とは、建物や家財が火災・落雷・破裂・爆発・風災などで損害を受けたときに補償する損害保険である。補償の範囲は商品によって異なり、水災などは付けるかどうか選べる商品が多い。地震・噴火・津波による火災や損壊は補償されないため、地震保険を付帯する必要がある。 「失火の責任に関する法律」により、軽過失による失火で隣家を焼いても損害賠償責任を負わないため、自分の建物は自分の火災保険で備える必要がある。
- 自賠責保険
- 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、自動車損害賠償保障法により、すべての自動車・原動機付自転車に加入が義務づけられている保険である。補償の対象は対人賠償(他人を死傷させた場合)だけで、対物賠償や運転者自身のけが・車の損害は補償されない。保険金の限度額は、被害者1人につき死亡3,000万円、傷害120万円、後遺障害は程度に応じ最高4,000万円である。
- 自動車保険
- 自動車保険(任意保険)とは、自賠責保険で補償されない損害や、自賠責保険の限度額を超える損害に備えて任意で加入する保険である。対人賠償保険(自賠責保険を超える部分)、対物賠償保険、人身傷害保険(過失割合にかかわらず自分の損害額を補償)、搭乗者傷害保険、車両保険などで構成される。対人賠償保険は、運転者本人やその配偶者・父母・子などの家族が被害者の場合は補償されない。
- 個人賠償責任保険
- 個人賠償責任保険とは、日常生活の中で他人にけがをさせたり他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償する保険である。本人だけでなく、生計を共にする同居の親族なども補償の対象になる商品が多い。業務中の事故、自動車の運転による事故、他人から借りた物の損害などは補償の対象外である。
金融資産運用(24語)
- 債券
- 債券とは、国や企業などが資金を借り入れるために発行する有価証券で、あらかじめ決められた利率(表面利率)で利子が支払われ、満期(償還日)には額面金額が返済される。定期的に利子が支払われる利付債と、利子の代わりに額面より低い価格で発行される割引債がある。 市場金利が上昇すると債券価格は下落し、市場金利が低下すると債券価格は上昇する。一般に残存期間が長いほど、表面利率が低いほど、金利変動による価格変動は大きい。発行体の信用力が低いほど利回りは高くなる。
- 最終利回り
- 最終利回りとは、すでに発行されている債券を時価で購入し、満期まで保有した場合の1年あたりの収益率である。年間の利子に、償還差益(額面と購入価格の差)を残存年数で割った額を加え、購入価格で割って求める。新発債を発行時に購入して満期まで保有した場合は応募者利回り、満期前に売却した場合は所有期間利回り、購入価格に対する年間の利子の割合は直接利回りという。
- PER
- PER(株価収益率)とは、株価を1株あたり純利益で割った指標で、株価が利益の何倍まで買われているかを表す。同業種の他社や市場平均と比べて、PERが低いほど株価は利益に対して割安と判断される。
- PBR
- PBR(株価純資産倍率)とは、株価を1株あたり純資産で割った指標で、株価が会社の純資産(解散価値)の何倍かを表す。一般にPBRが1倍を下回ると、株価が解散価値より低い割安な水準とされる。
- ROE
- ROE(自己資本利益率)とは、当期純利益を自己資本で割った指標で、株主から預かった資本を使ってどれだけ効率よく利益を上げたかを示す。数値が高いほど資本効率がよい。PBRをPERで割ったものとも等しい。
- 配当利回り
- 配当利回りとは、1株あたりの年間配当金を株価で割った指標で、株価に対してどれだけの配当が得られるかを示す。配当性向は、1株あたり配当金を1株あたり純利益で割った指標で、利益のうちどれだけを配当として株主に還元したかを示す。
- 日経平均株価
- 日経平均株価とは、東京証券取引所プライム市場に上場する銘柄から日本経済新聞社が選んだ225銘柄を対象とする株価指数である。株価をもとにした平均型の指数のため、株価の高い銘柄(値がさ株)の値動きの影響を受けやすい。
- TOPIX
- TOPIX(東証株価指数)とは、日本の株式市場全体の動きを表す株価指数で、浮動株を基準にした時価総額加重型で算出される。時価総額の大きい銘柄の値動きの影響を受けやすい。対象銘柄は、市場区分の見直しに伴い、流通株式時価総額などの基準で段階的に見直されている。
- 投資信託
- 投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用し、その成果を投資額に応じて投資家に分配する金融商品である。1口あたりの価格を基準価額という。購入時の販売手数料、保有期間中の運用管理費用(信託報酬、信託財産から日々差し引かれる)、解約時の信託財産留保額などのコストがかかる。 指数に連動する運用成果を目指すパッシブ運用(インデックスファンド)と、指数を上回る成果を目指すアクティブ運用がある。
- ETF
- ETF(上場投資信託)とは、証券取引所に上場し、株価指数などの指標に連動するように運用される投資信託である。上場株式と同じように、取引時間中の市場価格でいつでも売買でき、指値注文や成行注文、信用取引もできる。一般の投資信託と比べて信託報酬が低い傾向がある。
- J-REIT
- J-REIT(不動産投資信託)とは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産を購入し、賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品で、投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資法人の形をとる。証券取引所に上場しており、上場株式と同じように売買できる。分配金は配当所得になるが、配当控除の対象外である。
- 外貨預金
- 外貨預金とは、米ドルやユーロなどの外国通貨で預け入れる預金である。預入れ時に円を外貨に換える際は金融機関の対顧客電信売相場(TTS)、引出し時に外貨を円に換える際は対顧客電信買相場(TTB)が使われ、その差が為替手数料となる。円安になると円に換えたときの手取りが増え、円高になると減る(為替差損)。外貨預金は預金保険制度の対象外である。
- ポートフォリオ
- ポートフォリオとは、保有する金融資産の組合せのことで、値動きの異なる複数の資産に分散して投資することで、リスク(収益のばらつき)を抑えることを目指す。ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率を組入比率で加重平均して求める。リスクの低減効果は、組み合わせる資産の相関係数が小さいほど大きい。
- 相関係数
- 相関係数とは、2つの資産の値動きの関係の強さを示す数値で、マイナス1からプラス1までの値をとる。プラス1は完全に同じ方向に動き、マイナス1は完全に逆方向に動くことを表す。相関係数がプラス1でなければ分散投資によるリスク低減効果があり、マイナス1に近いほど効果が大きい。
- 標準偏差
- 標準偏差とは、データが平均値からどの程度ばらついているかを示す数値で、投資では収益率のばらつき、すなわちリスクの大きさを表す。標準偏差が大きいほど収益率の変動が大きく、リスクが高い資産といえる。
- シャープレシオ
- シャープレシオとは、ポートフォリオの収益率から無リスク資産の利子率を差し引いた超過収益率を、標準偏差で割った指標である。リスク1単位あたりにどれだけの超過収益を得られたかを示し、数値が大きいほど効率よく運用できたと評価される。
- NISA
- NISA(少額投資非課税制度)とは、NISA口座で購入した上場株式や投資信託などの配当金・分配金と譲渡益が非課税になる制度である。2024年から始まった制度では、年間の投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円で、非課税で保有できる限度額(非課税保有限度額)は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)。非課税期間は無期限で、売却した分の枠は翌年以降に再利用できる。 NISA口座の損失は、他の口座の利益と損益通算できず、繰越控除もできない。
- 預金保険制度
- 預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者を保護するための制度である。決済用預金(無利息・要求払い・決済サービスを提供できる預金)は全額が保護され、一般の預金等は1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等が保護される。外貨預金や譲渡性預金などは保護の対象外である。
- 金融サービス提供法
- 金融サービス提供法(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律)は、金融商品の販売などを業として行う者に、元本欠損や当初元本を上回る損失が生ずるおそれがあることなどの重要事項について、顧客に説明する義務を定めている。説明をしなかったことなどで顧客に損害が生じた場合は、業者が損害賠償責任を負い、元本欠損額が損害額と推定される。
- 消費者契約法
- 消費者契約法は、消費者と事業者が結ぶ契約(消費者契約)全般に適用され、事業者の不適切な勧誘によって誤認・困惑して結んだ契約を、消費者が取り消すことができると定める。重要事項について事実と異なることを告げる不実告知、将来の変動が不確実な事項について断定的判断を提供することなどが該当する。取消権は、追認できる時から1年、契約締結の時から5年で消滅する。消費者に一方的に不利な契約条項は無効となる。
- 金融商品取引法
- 金融商品取引法は、有価証券やデリバティブ取引などの公正な取引と投資者の保護を図る法律である。金融商品取引業者には、顧客の知識・経験・財産の状況・契約の目的に照らして不適当な勧誘をしてはならない適合性の原則、契約締結前の書面交付、断定的判断の提供による勧誘の禁止、損失補てんの禁止などの行為規制が課されている。
- 先物取引
- 先物取引とは、将来の決められた日に、現時点で決めた価格で商品や指数を売買することを約束する取引で、デリバティブ(金融派生商品)の一つである。少ない証拠金で大きな取引ができる(レバレッジ)。価格変動リスクを避けるヘッジ取引や、値上がり益を狙う投機取引に使われる。 オプション取引は、一定の価格で買う権利(コール)や売る権利(プット)を売買する取引で、買い手の損失はプレミアム(権利の代金)に限定される。
- GDP
- GDP(国内総生産)とは、一定期間に国内で生み出された財・サービスの付加価値の合計で、内閣府が四半期ごとに公表する。物価変動の影響を含む名目GDPと、物価変動の影響を除いた実質GDPがあり、経済成長率は一般に実質GDPの増加率で示す。支出面では、民間最終消費支出が最も大きな割合を占める。
- 景気動向指数
- 景気動向指数とは、生産・雇用など景気に敏感な複数の指標を統合して景気の現状把握や将来予測に使う指数で、内閣府が毎月公表する。景気に先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数がある。景気変動の大きさやテンポを示すCI(コンポジット・インデックス)が中心で、景気の波及度を示すDI(ディフュージョン・インデックス)もある。
タックスプランニング(30語)
- 所得税
- 所得税とは、個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対して課される国税である。所得は、利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑の10種類に分けて計算し、原則として総合して課税総所得金額を求め、超過累進税率(5%から45%)を掛けて税額を計算する(総合課税)。利子所得や上場株式等の譲渡所得、土地・建物の譲渡所得、退職所得などは、他の所得と分けて課税される(分離課税)。
- 給与所得
- 給与所得とは、俸給・給料・賃金・賞与などの所得で、収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算する。給与所得控除額は収入金額に応じて決まり、最低額は2025年分から65万円、2026年分から69万円となった。特定支出の額が一定額を超える場合は、特定支出控除を受けられる。
- 事業所得
- 事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などの事業から生じる所得で、総収入金額から必要経費を差し引いて計算する。青色申告者は、青色申告特別控除や純損失の繰越控除などの特典を受けられる。不動産の貸付けによる所得は、規模にかかわらず事業所得ではなく不動産所得となる。
- 不動産所得
- 不動産所得とは、土地・建物などの不動産や不動産の上に存する権利の貸付けによる所得で、総収入金額から必要経費を差し引いて計算する。アパートの家賃、駐車場の賃料(青空駐車場など)、借地権の設定の対価などが該当する。下宿など食事を提供する場合は事業所得または雑所得となる。 不動産所得の損失は損益通算できるが、土地の取得のための借入金の利子に相当する部分は損益通算できない。
- 一時所得
- 一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡の対価としての性質を持たないものをいう。懸賞の賞金、競馬の払戻金、生命保険の満期保険金や解約返戻金(保険料負担者が受け取る場合)などが該当する。 総収入金額から収入を得るために支出した金額と特別控除額(最高50万円)を差し引いて計算し、総所得金額に算入するのはその2分の1である。
- 雑所得
- 雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得で、公的年金等、業務に係るもの(副業の原稿料など)、その他(個人年金保険の年金など)に分けて計算する。公的年金等の雑所得は、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算する。雑所得の損失は、他の所得と損益通算できない。
- 退職所得
- 退職所得とは、退職手当や一時恩給など退職により一時に受ける給与などの所得で、収入金額から退職所得控除額を差し引いた額の2分の1が退職所得の金額となる(勤続5年以下の役員等や短期退職手当等には特例がある)。退職所得控除額は、勤続年数20年以下では40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超では800万円+70万円×(勤続年数-20年)で、1年未満の端数は1年に切り上げる。 分離課税で、「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば源泉徴収で課税関係が終わる。
- 配当所得
- 配当所得とは、株式の配当金、投資信託(公社債投資信託などを除く)の収益分配金などの所得である。上場株式等の配当は、原則として所得税15.315%・住民税5%の源泉徴収で課税が終わり、確定申告をしない方法(申告不要制度)、総合課税で申告して配当控除を受ける方法、申告分離課税で上場株式等の譲渡損失と損益通算する方法から選べる。
- 上場株式の譲渡所得
- 上場株式等を売却して得た利益は、上場株式等に係る譲渡所得等として、他の所得と分けて所得税15.315%・住民税5%で課税される(申告分離課税)。特定口座の源泉徴収あり口座を選ぶと、金融機関が税金を差し引くため確定申告をしなくてもよい。 上場株式等の譲渡損失は、上場株式等の配当(申告分離課税を選んだもの)と損益通算でき、通算しきれない損失は確定申告により翌年以後3年間繰り越せる。
- 損益通算
- 損益通算とは、ある所得の損失を、他の所得の黒字と一定の順序で差し引き合うことである。所得税で損益通算できるのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つの所得から生じた損失に限られる。 ただし、不動産所得の損失のうち土地の取得のための借入金の利子に相当する部分、生活に通常必要でない資産(ゴルフ会員権など)の譲渡損失、土地・建物の譲渡損失(一定の居住用財産を除く)、上場株式等の譲渡損失(申告分離課税の配当とは可)は、他の所得と損益通算できない。
- 純損失の繰越控除
- 純損失の繰越控除とは、損益通算をしても控除しきれない損失(純損失)を、翌年以後3年間にわたって各年の所得から差し引くことができる制度である。純損失の全額を繰り越せるのは青色申告者で、青色申告をしていない人は変動所得や被災事業用資産の損失などに限られる。損失が生じた年に確定申告をし、その後も連続して確定申告をする必要がある。
- 所得控除
- 所得控除とは、所得税の計算で、納税者の個人的な事情を考慮して所得金額から差し引くもので、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除などがある。所得控除は税率を掛ける前の所得から差し引くもので、税額から直接差し引く税額控除とは異なる。
- 基礎控除
- 基礎控除とは、すべての納税者が受けられる所得控除で、合計所得金額が2,350万円以下の人の控除額は、2025年分は58万円、2026年分以後は62万円である(2,350万円を超えると段階的に減り、2,500万円を超えると適用なし)。さらに、2025年分以後は合計所得金額655万円以下の人に所得に応じた加算の特例があり、2026年分・2027年分は、合計所得金額489万円以下で42万円、489万円超で5万円が加算される(2028年分以後は132万円以下の人に37万円)。住民税の基礎控除は所得税と額が異なる。
- 配偶者控除
- 配偶者控除とは、納税者に合計所得金額62万円以下(2025年分は58万円以下)の生計を一にする配偶者(青色事業専従者などを除く)がいる場合に受けられる所得控除である。納税者本人の合計所得金額が900万円以下なら38万円(70歳以上の老人控除対象配偶者は48万円)で、本人の所得が増えると段階的に減り、1,000万円を超えると受けられない。 配偶者の合計所得金額が配偶者控除の要件を超え一定額以下の場合は、配偶者特別控除を受けられる。
- 扶養控除
- 扶養控除とは、納税者に合計所得金額62万円以下(2025年分は58万円以下)の生計を一にする親族など(扶養親族)がいる場合に受けられる所得控除で、16歳未満の扶養親族は対象外である。控除額は一般の控除対象扶養親族が38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族が63万円、70歳以上の老人扶養親族が48万円(同居老親等は58万円)である。 2025年分からは、19歳以上23歳未満で合計所得金額が扶養控除の要件を超え一定額以下の親族について、特定親族特別控除が設けられた。
- 医療費控除
- 医療費控除とは、本人や生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が一定額を超えたときに受けられる所得控除である。控除額は、支払った医療費から保険金などで補てんされる額を差し引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を差し引いた額で、上限は200万円。 特定の市販薬(スイッチOTC医薬品など)の購入費が1万2,000円を超える場合は、医療費控除に代えてセルフメディケーション税制(上限8万8,000円)を選べる(2026年度の税制改正で、スイッチOTC医薬品の購入分は適用期限が撤廃され、それ以外の医薬品の購入分は5年延長された)。
- 社会保険料控除
- 社会保険料控除とは、本人や生計を一にする配偶者・親族が負担すべき社会保険料(国民年金保険料、国民健康保険料、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、国民年金基金の掛金など)を支払った場合に、支払った全額を所得から差し引ける所得控除である。家族の分を本人が支払った場合も、本人の控除の対象になる。
- 小規模企業共済等掛金控除
- 小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済の掛金、確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の掛金や企業型年金の加入者掛金、心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合に、その全額を所得から差し引ける所得控除である。社会保険料控除と違い、本人が加入者である掛金に限られ、家族の分を支払っても控除の対象にならない。
- 生命保険料控除
- 生命保険料控除とは、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる所得控除である。2012年以後に締結した契約(新契約)は、一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の各控除の上限が所得税で4万円、合計で12万円である。 2026年分・2027年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般の生命保険料控除の上限が6万円に引き上げられる特例がある(合計の上限は12万円)。
- 地震保険料控除
- 地震保険料控除とは、居住用の家屋や生活用動産を対象とする地震保険の保険料を支払った場合に受けられる所得控除で、所得税では支払った地震保険料の全額、最高5万円が控除される。火災保険の保険料は対象外である。
- 住宅借入金等特別控除
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは、住宅ローンを利用して住宅を新築・取得・増改築して居住した場合に、年末の借入金残高に一定の控除率(0.7%)を掛けた額を、一定期間、所得税額から差し引ける税額控除である。借入金の返済期間が10年以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であること、床面積が原則50平方メートル以上であることなどが要件で、借入限度額や控除期間は住宅の省エネ性能や入居時期で異なる。 所得税から控除しきれない額は、一定の範囲で住民税から控除される。
- 配当控除
- 配当控除とは、上場株式などの配当所得について総合課税を選んで確定申告した場合に、所得税額から差し引ける税額控除である。課税総所得金額等が1,000万円以下の部分に対応する配当所得は、配当所得の10%(所得税)を控除できる。申告分離課税を選んだ配当や申告不要とした配当、J-REITの分配金、外国株式の配当は対象外である。
- 青色申告
- 青色申告とは、不動産所得・事業所得・山林所得のある人が、税務署長の承認を受けて、一定の帳簿書類を備え付けて記帳・保存し、その帳簿に基づいて申告する制度である。新たに始める場合は、原則としてその年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内)に承認申請書を提出する。 青色申告特別控除(事業的規模で正規の簿記により記帳した場合は55万円、電子申告などの要件を満たすと65万円、その他は10万円)、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の繰越控除などの特典がある。
- 確定申告
- 確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得と税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署長に申告書を提出して納税することである。給与所得者は年末調整で課税関係が終わることが多いが、給与の収入金額が2,000万円を超える人、給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える人、医療費控除などを受ける人は確定申告が必要(または必要に応じて行う)である。 死亡した人の所得は、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に申告する(準確定申告)。
- 源泉徴収
- 源泉徴収とは、給与・退職手当・利子・配当・報酬などを支払う者が、支払いの際に所得税を差し引いて国に納める仕組みである。給与の源泉徴収税額は、年末調整で1年間の正しい税額との過不足が精算される。預貯金の利子は所得税15.315%・住民税5%の源泉分離課税で課税が終わる。
- 年末調整
- 年末調整とは、給与の支払者が、年の最後の給与を支払う際に、その年に源泉徴収した所得税の合計額と、1年間の給与総額に基づく正しい年税額との過不足を精算する手続である。生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除・扶養控除などは年末調整で受けられるが、医療費控除・寄附金控除(ワンストップ特例を除く)・雑損控除や、住宅借入金等特別控除の初年度は確定申告が必要である。
- 減価償却
- 減価償却とは、建物や機械など時の経過で価値が減る資産の取得費用を、使用できる期間(法定耐用年数)にわたって必要経費として配分する手続である。計算方法には毎年同じ額を償却する定額法と、毎年一定の率で償却する定率法がある。個人の場合、届出をしなければ定額法となる。1998年4月以後に取得した建物、2016年4月以後に取得した建物附属設備・構築物は定額法に限られる。土地は減価償却の対象外である。
- 住民税
- 個人住民税とは、都道府県民税と市町村民税(東京23区は特別区民税)の総称で、その年の1月1日に住所がある市町村などが、前年の所得をもとに課税する。所得に応じた所得割(標準税率は合わせて10%)と、定額の均等割がある。給与所得者は、原則として6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きされる(特別徴収)。
- 法人税
- 法人税とは、法人の各事業年度の所得に対して課される国税である。所得の金額は、企業会計上の利益(益金から費用・損失を差し引いたもの)に、税法上の調整(加算・減算)を行って計算する。役員給与は、定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれかに当たらないと損金にならない。中小法人には、年800万円以下の所得に軽減税率が適用される。
- 消費税
- 消費税とは、国内で事業者が行う資産の譲渡や役務の提供などに課される税で、税率は標準税率10%(うち地方消費税2.2%)、飲食料品(外食・酒類を除く)などの軽減税率8%である。土地の譲渡・貸付け、住宅の貸付け(1か月以上)、預金利子、保険料などは非課税である。 基準期間(原則2年前)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は原則として納税義務が免除され、5,000万円以下なら簡易課税制度を選べる。仕入税額控除には、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要である。
不動産(23語)
- 公示価格
- 公示価格とは、地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1月1日時点の標準地の1平方メートルあたりの正常な価格を判定し、3月ごろに公示する価格である。一般の土地取引の指標となる。 これを補うものとして、都道府県知事が毎年7月1日時点の基準地の価格を調査し公表する基準地標準価格(基準地価)がある。
- 相続税路線価
- 相続税路線価とは、相続税・贈与税の財産評価のために、国税庁が道路(路線)ごとに定める、その道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価額である。毎年1月1日時点で評価され、公示価格の80%程度が目安とされる。市街地の宅地は路線価方式で、路線価のない地域は固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式で評価する。
- 固定資産税評価額
- 固定資産税評価額とは、市町村(東京23区は都)が固定資産税などの課税のために決める土地・家屋の価格で、固定資産課税台帳に登録される。土地は公示価格の70%程度が目安とされ、原則として3年ごとに評価替えが行われる。固定資産税・都市計画税のほか、不動産取得税や登録免許税の課税標準にも使われる。
- 登記事項証明書
- 登記事項証明書とは、不動産登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明した書面で、手数料を納めれば誰でも交付を請求できる。登記記録は、土地・建物の所在や面積などを記録する表題部と、権利に関する事項を記録する権利部に分かれ、権利部は所有権に関する甲区と、抵当権など所有権以外の権利に関する乙区からなる。 日本の不動産登記には公信力がないため、登記を信じて取引しても、真の権利者から権利を主張されることがある。
- 抵当権
- 抵当権とは、住宅ローンなどの債務の担保として、債務者または第三者が所有する不動産に設定する権利で、債務が返済されないときは不動産を競売してその代金から他の債権者に先立って弁済を受けられる。不動産の占有は所有者のもとにとどまるため、所有者は住み続けたり貸したりできる。抵当権の設定は登記記録の権利部(乙区)に記録される。
- 普通借地権
- 普通借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権のうち、契約の更新がある借地権である。存続期間は30年以上で、更新後の期間は最初の更新が20年以上、2回目以降が10年以上となる。期間満了時に建物があれば、借地権者が更新を請求したときなどは更新したものとみなされ、借地権設定者(地主)が更新を拒むには正当事由が必要である。
- 定期借地権
- 定期借地権とは、契約の更新がなく、期間満了で終了する借地権である。一般定期借地権は存続期間50年以上で、特約は書面(または電磁的記録)で定め、利用目的の制限はない。事業用定期借地権等は、専ら事業用の建物(居住用を除く)の所有を目的に存続期間10年以上50年未満で設定し、契約は公正証書でしなければならない。建物譲渡特約付借地権は、30年以上経過後に建物を地主に相当の対価で譲渡する特約を付けたものである。
- 定期建物賃貸借
- 定期建物賃貸借(定期借家)とは、契約の更新がなく、期間満了で終了する建物の賃貸借である。書面(または電磁的記録)で契約し、賃貸人は事前に、更新がなく期間満了で終了する旨を書面を交付して説明しなければならない。期間は1年未満でもよい。期間が1年以上の場合、賃貸人は期間満了の1年前から6か月前までに終了の通知をする。床面積200平方メートル未満の居住用建物では、転勤などやむを得ない事情がある賃借人は中途解約を申し入れられる。
- 普通借家契約
- 普通借家契約とは、契約の更新がある建物の賃貸借である。期間を1年未満とした場合は期間の定めがない契約とみなされる。賃貸人が更新を拒絶したり解約を申し入れたりするには正当事由が必要で、期間の定めがある場合は期間満了の1年前から6か月前までに通知しないと、従前と同じ条件で更新したものとみなされる。建物の引渡しを受けていれば、登記がなくても新しい所有者に賃借権を主張できる。
- 用途地域
- 用途地域とは、都市計画法に基づき、建築できる建物の用途や規模を地域ごとに定めるもので、住居系・商業系・工業系の13種類がある。用途地域ごとに建築基準法の用途制限、建蔽率・容積率の上限などが定められる。例えば工業専用地域では住宅を建てられない。建築物の敷地が2つの用途地域にわたる場合は、敷地の過半が属する用途地域の制限が適用される。
- 建蔽率
- 建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積の割合で、用途地域ごとに都市計画で上限が定められる。建築面積の最高限度は「敷地面積×建蔽率」で求める。防火地域内の耐火建築物等や準防火地域内の耐火・準耐火建築物等、特定行政庁が指定する角地では、それぞれ10%が加算される。建蔽率の上限が80%の地域内で防火地域内にある耐火建築物等には、建蔽率の制限がない。
- 容積率
- 容積率とは、敷地面積に対する延べ面積の割合で、用途地域ごとに都市計画で上限が定められる。延べ面積の最高限度は「敷地面積×容積率」で求める。前面道路の幅員が12メートル未満の場合は、幅員に法定乗数(住居系の用途地域は原則10分の4、その他は原則10分の6)を掛けた数値と、都市計画で定めた容積率のうち小さい方が上限となる。
- 接道義務
- 接道義務とは、都市計画区域・準都市計画区域内で建物を建てる敷地が、原則として幅員4メートル以上の建築基準法上の道路に2メートル以上接していなければならないという決まりである。幅員4メートル未満の道で特定行政庁が指定したもの(2項道路)は、原則として道路の中心線から2メートル後退した線が道路の境界線とみなされ、後退した部分(セットバック部分)は建蔽率・容積率を計算する敷地面積に含めない。
- 防火地域
- 防火地域・準防火地域とは、市街地の火災の危険を防ぐため都市計画で定める地域で、建物の規模に応じて耐火建築物等・準耐火建築物等とすることなどが求められる。建物が防火地域・準防火地域・指定のない区域にわたる場合は、原則として最も厳しい地域の規制が建物全体に適用される。防火地域内の耐火建築物等などは建蔽率が緩和される。
- 区分所有法
- 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)は、分譲マンションのように一棟の建物を区分して所有する場合の権利関係と管理のルールを定める法律である。区分所有者は全員で管理組合を構成し、専有部分と敷地利用権は原則として分離して処分できない。 集会の議事は原則として出席した区分所有者と議決権の各過半数で決め、規約の設定・変更は出席者などの各4分の3以上、建替え決議は区分所有者と議決権の各5分の4以上(一定の場合は4分の3以上)が必要である(2026年4月施行の改正後)。
- 不動産取得税
- 不動産取得税とは、土地や家屋を売買・贈与・新築などで取得した人に、都道府県が課す税である。課税標準は原則として固定資産税評価額で、標準税率は4%(土地と住宅は期限付きの特例で3%)。相続や法人の合併による取得には課されない。一定の要件を満たす新築住宅は、課税標準から1,200万円が控除される。
- 固定資産税
- 固定資産税とは、毎年1月1日(賦課期日)に土地・家屋などを所有している人に、市町村が課す税で、標準税率は1.4%である。住宅用地は課税標準が、200平方メートル以下の部分は6分の1、それを超える部分は3分の1に軽減される。 都市計画税は、原則として市街化区域内の土地・家屋の所有者に市町村が課す税で、制限税率は0.3%である(住宅用地は課税標準が3分の1・3分の2に軽減)。
- 登録免許税
- 登録免許税とは、不動産の登記をするときに国に納める税である。所有権の保存登記・移転登記、抵当権の設定登記などが対象で、課税標準は原則として固定資産税評価額(抵当権設定登記は債権金額)である。相続による所有権移転登記の税率は、売買による移転登記より低い。一定の住宅用家屋には軽減税率の特例(期限付き)がある。
- 印紙税
- 印紙税とは、不動産の売買契約書や金銭消費貸借契約書など、法律で定める課税文書を作成した場合に課される国税で、文書に収入印紙を貼り消印して納める。契約書を複数作成した場合は、それぞれに印紙が必要となる。建物の賃貸借契約書は課税文書ではない。印紙を貼らなかった場合は過怠税が課されるが、印紙が貼られていなくても契約自体は有効である。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 居住用財産の3,000万円特別控除とは、自分が住んでいる家屋やその敷地を譲渡した場合に、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例である。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であることなどが要件で、配偶者や直系血族などへの譲渡には使えない。所有期間が10年を超える場合は、軽減税率の特例(課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分の所得税10%)と併用できる。
- 土地・建物の譲渡所得
- 土地・建物を譲渡した場合の所得は、他の所得と分けて課税される(分離課税)。譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得(所得税15%・住民税5%)、5年以下の場合は短期譲渡所得(所得税30%・住民税9%)となる(ほかに復興特別所得税)。譲渡所得の金額は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算し、取得費が不明な場合などは譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)にできる。
- 等価交換
- 等価交換方式とは、土地の所有者が土地を提供し、デベロッパーがその土地に建物を建て、完成した建物の一部(と敷地の持分)を土地の出資割合に応じて土地所有者が取得する土地活用の方法である。土地所有者は建設資金を負担せずに建物を取得できる。 ほかの土地活用には、信託銀行に土地を信託して運用を任せる土地信託方式、土地を事業用定期借地権で貸す方式などがある。
- NOI利回り
- NOI利回り(純利回り)とは、不動産投資の収益性を示す指標で、年間の賃料収入から諸経費(管理費、固定資産税など)を差し引いた純収益(NOI)を、投資額で割って求める。年間賃料収入を投資額で割っただけの表面利回り(単純利回り)より、実態に近い収益性を表す。
相続・事業承継(24語)
- 相続税
- 相続税とは、相続や遺贈によって財産を取得した人に課される国税である。課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いた課税遺産総額を、法定相続人が法定相続分どおりに取得したものとして相続税の総額を計算し、実際の取得割合で各人に按分する。 申告と納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う。配偶者・1親等の血族(代襲相続人を含む)以外の人は、相続税額が2割加算される。
- 遺産に係る基礎控除
- 遺産に係る基礎控除とは、相続税の計算で課税価格の合計額から差し引く額で、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する。法定相続人の数は相続を放棄した人も含めて数え、養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか数えない。課税価格の合計額が基礎控除額以下なら相続税はかからない。
- 法定相続人
- 法定相続人とは、民法で定められた相続人で、配偶者は常に相続人となり、配偶者以外は第1順位が子(死亡している場合は孫などの代襲相続人)、第2順位が直系尊属(父母など)、第3順位が兄弟姉妹(死亡している場合はその子)となる。先の順位の人がいる場合、後の順位の人は相続人にならない。相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされる。
- 法定相続分
- 法定相続分とは、民法が定める各相続人の相続割合である。配偶者と子が相続人の場合は配偶者2分の1・子2分の1、配偶者と直系尊属の場合は配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1となる。同順位の相続人が複数いる場合は均等に分ける。父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1である。嫡出子と非嫡出子の相続分は同じである。
- 代襲相続
- 代襲相続とは、相続人となるはずの子や兄弟姉妹が、相続開始以前に死亡していたり、相続欠格・廃除により相続権を失っていたりする場合に、その人の子が代わりに相続人となることである。子の代襲は孫・ひ孫と続くが、兄弟姉妹の代襲はその子(おい・めい)までである。相続を放棄した人の子は代襲相続人にならない。
- 遺留分
- 遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された、遺産の最低限の取り分である。遺留分の割合は、直系尊属だけが相続人の場合は遺留分算定の基礎となる財産の3分の1、それ以外は2分の1で、これに各人の法定相続分を掛ける。遺留分を侵害された人は、受遺者や受贈者に侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる。この請求権は、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消滅する。相続開始前の遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要である。
- 遺言
- 遺言とは、自分の死後の財産の分け方などについて、法律で定める方式に従って行う意思表示で、15歳以上であればできる。自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印するが、財産目録はパソコンでの作成も認められる(各ページに署名押印)。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと公証人が作成する。 自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要だが、法務局の遺言書保管制度を利用したものと公正証書遺言は検認が不要である。遺言はいつでも撤回でき、複数の遺言の内容が抵触する部分は後の遺言が優先する。
- 遺産分割
- 遺産分割とは、相続人が共同で相続した遺産を、各相続人に分けることである。遺言による指定分割、相続人全員の合意による協議分割、家庭裁判所による調停分割・審判分割がある。分割の方法には、遺産そのものを分ける現物分割、遺産を売却して代金を分ける換価分割、ある相続人が遺産を取得し他の相続人に代償金を支払う代償分割がある。協議分割では、全員が合意すれば法定相続分と異なる割合で分けてもよい。
- 相続の放棄
- 相続の放棄とは、相続人が被相続人の財産も債務も一切受け継がないことで、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する。放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされ、その子も代襲相続しない。 限定承認は、相続で得た財産の範囲内で債務を引き継ぐ方法で、同じく3か月以内に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する。期間内に何もしなかった場合は単純承認したものとみなされる。
- 死亡保険金の非課税
- 被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金を相続人が受け取った場合、相続税の課税対象となるが、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となる。死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金にも、別枠で同じ額の非課税限度額がある。相続を放棄した人や相続人でない人が受け取った死亡保険金には、非課税の適用はない。
- 債務控除
- 債務控除とは、相続税の課税価格の計算で、被相続人の債務(借入金、未払いの税金など)と葬式費用を、相続財産から差し引くことである。葬式費用には通夜・本葬の費用などが含まれるが、香典返しの費用や墓碑の購入費用、法要(初七日など)の費用は含まれない。被相続人が生前に購入した墓地の未払代金など、非課税財産に関する債務も控除できない。
- 配偶者の税額軽減
- 配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が相続や遺贈で取得した財産の額が、1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税がかからない制度である。婚姻期間の長さは問わないが、法律上の婚姻関係にある配偶者に限られる。適用を受けるには、相続税がゼロになる場合でも申告書の提出が必要である。
- 小規模宅地等の特例
- 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例とは、被相続人などの居住や事業に使われていた宅地等を一定の親族が相続した場合に、一定の面積まで評価額を減額できる特例である。特定居住用宅地等は330平方メートルまで80%、特定事業用宅地等は400平方メートルまで80%、貸付事業用宅地等は200平方メートルまで50%減額される。 特定居住用宅地等では、配偶者が取得した場合は要件なしで適用でき、同居親族などは申告期限まで所有・居住を続けることなどが要件となる。適用には申告が必要である。
- 贈与税
- 贈与税とは、個人から財産の贈与を受けた個人に課される国税である。暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた額に、累進税率を掛けて計算する。18歳以上の人が直系尊属から受けた贈与には、一般の税率より低い特例税率が適用される。 贈与税の申告と納付は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに行う。相続開始前7年以内(段階的に延長中)に被相続人から受けた暦年課税の贈与は、相続財産に加算される。
- 相続時精算課税
- 相続時精算課税とは、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫(推定相続人である子や孫)への贈与について、贈与時の贈与税を軽くし、相続時に贈与財産を相続財産に加算して精算する制度である。2024年以降の贈与は、年110万円の基礎控除を差し引いた後、累計2,500万円までの特別控除があり、超えた部分に一律20%の贈与税がかかる。基礎控除以下の贈与は申告不要で、相続財産にも加算されない。 選択すると、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せない。選択するには、最初の贈与を受けた年の翌年3月15日までに届出書を提出する。
- 贈与税の配偶者控除
- 贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産またはその取得資金の贈与があった場合に、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円を控除できる特例である。贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に住み、その後も住み続ける見込みであることなどが要件で、同じ配偶者からの贈与では一生に一度しか使えない。適用には申告が必要である。
- 住宅取得等資金の贈与の非課税
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税とは、父母や祖父母から住宅の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税となる特例である(2026年12月31日までの贈与)。受贈者は贈与の年の1月1日に18歳以上で、その年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積が一定未満の場合は1,000万円以下)であることなどが要件。非課税限度額は、省エネ等住宅とそれ以外で異なる。暦年課税の基礎控除や相続時精算課税と併用できる。
- 自用地
- 自用地とは、所有者が自ら使用していて、他人の権利(借地権や借家権など)の目的になっていない宅地をいい、相続税の評価では、市街地では路線価に奥行価格補正率などの補正率を掛け、地積を掛けて求める(路線価方式)。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に国税局長が定める倍率を掛けて求める(倍率方式)。
- 借地権割合
- 借地権割合とは、相続税の財産評価で、借地権の価額を求めるために自用地評価額に掛ける割合で、路線価図にAからGの記号で示される(Aが90%、Gが30%)。借地権の評価額は「自用地評価額×借地権割合」、借地権が設定されている土地(貸宅地)の評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合)」で求める。
- 貸家建付地
- 貸家建付地とは、所有する土地に自ら建てたアパートなどの貸家の敷地をいう。相続税の評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で求め、自用地より評価額が低くなる。借家権割合は全国一律で30%である。
- 取引相場のない株式
- 取引相場のない株式(非上場株式)の相続税評価は、取得する人と会社の規模で方法が変わる。同族株主等が取得する場合は、大会社は類似業種比準方式(上場している類似業種の株価をもとに、1株あたりの配当・利益・純資産を比べて評価)、小会社は純資産価額方式(会社の純資産を相続税評価額で計算して評価)、中会社は両者の併用を原則とする。同族株主以外の株主が取得する場合は、配当還元方式で評価する。
- 事業承継税制
- 事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例)とは、中小企業の後継者が、経営承継円滑化法に基づく認定(法律上は経済産業大臣の認定で、事務は都道府県知事が行う)を受けた会社の非上場株式等を、先代経営者から相続や贈与で取得した場合に、一定の要件のもとで相続税・贈与税の納税が猶予され、後継者の死亡などで猶予税額が免除される制度である。特例措置は、特例承継計画を提出したうえで2027年12月31日までの贈与・相続が対象となる。
- 延納
- 延納とは、相続税を金銭で一度に納めることが困難な場合に、担保を提供して年賦で分割して納める制度で、利子税がかかる。延納でも金銭で納めることが困難な場合は、相続財産そのもので納める物納が認められる。物納できる財産には順位があり、不動産・国債・上場株式などが第1順位である。いずれも申告期限までに申請書を提出し、税務署長の許可を受ける必要がある。
- 成年後見制度
- 成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分な人を保護・支援する制度である。家庭裁判所が後見人などを選ぶ法定後見(判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助)と、本人の判断能力があるうちに、将来に備えて任意後見人と後見事務の内容を契約で決めておく任意後見がある。任意後見契約は公正証書で結び、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときに効力が生じる。
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