Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

相続・事業承継・一部改変

設例

Aさん(72歳)は、妻Bさん(68歳)および長女Cさん(38歳)とX市内の自宅で同居している。長女Cさんは、X市役所に公務員として勤務している。長男Dさん(37歳)は、県外で会社員として働いており、X市に戻る予定はない。
Aさんは、普段から身の回りの世話をしてくれる長女Cさんに対して、現金の贈与をしたいと考えている。また、長男Dさんには2021年にY社株式(上場株式、贈与時の相続税評価額3,000万円)を贈与しており、長男Dさんはこの贈与について相続時精算課税制度を選択している。

〈Aさんの親族関係図〉
・Aさん ― 妻Bさん(配偶者)
・Aさん夫妻の子:長女Cさん、長男Dさん(配偶者あり)
・長男Dさん夫妻の子:孫Eさん

〈Aさんの推定相続人〉
妻Bさん:Aさんおよび長女Cさんと同居している。
長女Cさん:公務員。Aさん夫妻と同居している。
長男Dさん:会社員。妻と子の3人で戸建て住宅(持家)に住んでいる。

〈Aさんの主な所有財産(相続税評価額)〉
1.現預金:8,000万円
2.自宅敷地(300㎡):7,000万円(注)
  自宅建物:3,000万円
(注)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

1 「妻Bさんが自宅の敷地と建物を相続により取得し、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、自宅の敷地(相続税評価額7,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を5,600万円とすることができます」

なぜ違う: 特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けた場合、330㎡までの部分について評価額が80%減額されます。自宅敷地300㎡は全部が対象となるため、課税価格に算入すべき価額は7,000万円×20%=1,400万円です。

2 「Y社株式の相続時の相続税評価額が2,600万円であった場合、長男Dさんの相続税の課税価格に加算されるY社株式の価額は、贈与時の相続税評価額3,000万円と2,600万円とのいずれか低いほうの価額となるため、2,600万円となります」

なぜ違う: 相続時精算課税により贈与を受けた財産は、原則として贈与時の相続税評価額で相続税の課税価格に加算されます。相続時の評価額と比べて低いほうを選べる仕組みではないため、加算されるのは3,000万円です。

3 「長男Dさんが相続時精算課税制度により納付した贈与税額は、相続税額から控除され、控除しきれないものについては、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます」

正解: 3

要点: 正解は 3)。相続時精算課税制度により納付した贈与税額は、相続税額から控除されます。

相続時精算課税制度により納付した贈与税額は、相続税額から控除されます。控除しきれない金額がある場合は、相続税の申告をすることで還付を受けることができるのが、暦年課税の贈与税額控除との大きな違いです(暦年課税では控除しきれない分は切り捨てられます)。よって選択肢3が最も適切です。相続時精算課税は「贈与税を先払いし、相続時に精算する」仕組みなので、精算の結果として払い過ぎがあれば戻ってくると理解すると分かりやすくなります。

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関連キーワード: 相続・事業承継・3級・実技

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出典:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級実技試験(個人資産相談業務)2026年5月公表分 問15 を一部改変